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今をときめくサイバーエージェント様のローグライク。

本当にお金をかけてパズドラの売れてる要素を限りなくトレースして作られたローグライクに見えます。
かくいう私もソフト屋の代表取締役時代に、パズドラシステム+パズルとか、パズドラシステム+ドラクエ戦闘したものを作らせてきた張本人なので、パズドラシステム+ローグライクで基本コンセプトのあさましさにあれこれ言う資格などない。

僕自身はパズドラをそんなにプレイしていなかったので、あまりその仕組を理解していなかったんだけど、しかし、やってみておどろいた。うちの作ってた商品とブレゲーはシステムがクリソツじゃないか!パクリか!?あ、違う、僕達がパズドラをパクったから、他のパズドラリスペクト製品と似てるだけなんだ。

僕らもがんばってリスペクトしたし、クライアントさんとの二人三脚で頑張ってきたけど結局クライアントさんを大儲けさせてあげることはできなかった。単純に言うと開発費だけもらってうまく稼がせてあげられなかった。しかしこのブレイブリーゲートをそういうソフト屋の観点ではなくプレイヤーとして見て僕らのソフトが圧倒的に欠けている点に気づいた。

かけているお金の量が違うこともさることながら、カードやガチャなどの当たり前の要素に加えて儲かる(らしい)すべての(誰かが考えた)要素をぎゅうぎゅうに詰め込みました、っていう言ってみればよくあるアレである。
ゲームのUIやエフェクトなど、必要以上にきらびやかな演出は、いたるところでお金の香りの香水がプンプン匂う。もうこれはアレだな、夜の街とかパチスロのきらびやかさに近い。そう考えれば広告や目を引くきらびやかさに「やり過ぎ」はないのかもしれない(※)

ようするに「いやらしいくらい稼ぐことに貪欲」なソフトなのである。

僕らが負けていたのはここだった。
根がゲーマーな奴ら(僕ら)が稼ぐことに貪欲になりきれず、ゲームとしての美学や歴史に準じてわきまえたゲーム性とストイックな姿勢でそこそこのカンパを求めていたところに「さあ、今からがっぽり稼ぐぜ!」っていう別次元から現れたプレデターとは稼ぐことに対する姿勢が違う。

同じパズドラリスペクトでも、徹底的に研究してやり尽くして、パズドラライクなんてものじゃなく「それ以上」を本気で狙っている姿勢に完全に負けていた。

どうせマネッコするんならここまでやらないとダメだった。しかし悔しい。ゲームの美学を無視して稼ぐことに貪欲なソフトに負けることが悔しい!

本気で貢がせるつもりのホストと恋愛に純真でストイックな男子のどっちがかっこいいか、というと、僕は後者だけれども、どっちが女の子に貢がせることができるかというと前者である。そして貢がせた分の見返りは、そのお金をかけたであろう豪華な演出で一生懸命にプレイヤーに還元している。同じ100円でも、レアキャラを引いた時の気持ちよさは、僕らの作ったゲームと比べてもブレイブリーゲートの方が5倍は豪華だ。

ゲームの話に戻そう。
しかし残念ながらこの「ブレイブリーゲート」はローグライクなのに全然ローグライクらしくない。システムはローグライクなのに。ローグっぽくないのである。

クローズドβテストでも「こんなのローグじゃない」といった意見が出ていたらしいが、そもそもローグらしさて何?ということになると話が難しい。しかし、どうも本人たちもそう思っていたらしく改善できる点を昇華して本作品に必要のない要素を男らしくオミットした結果なのでしょう。

http://gamebiz.jp/?p=146305

悪くないけど、ローグ特有の戦略性がいまいち感じられなくて。
近づいてバシュ、近づいてバシュっと切り進む感じはなんかゼルダの伝説っぽくもあり、もはやアクションに近い。後半になればもっとローグライクしてくれるのかもしれないが、そこまで保つ自信がない。

そう思ってた矢先に「スーパー激レア」キャラが当たる。
うまいねえ。こういうところが本当にうまい。こういう香水の匂いがプンプンするゲームは苦手なところで、iPhoneで遊べる香水の匂いのしない、とても優秀なローグライクを紹介します。

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・Rougue Ninja・・・http://www.appbank.net/2012/04/06/iphone-application/393492.php
・Alchemy Dungeon・・・http://app.famitsu.com/20150713_543471/
・お宝ダンジョン・・・http://iphoneac-blog.com/archives/3143869.html

むむうう、地味だ。地味だがこっちのほうが好きだ。素直に面白い。これでローグにはまって、もっと派手でカジュアルなローグを求めてブレゲーに行き着いた結果、なぜか原点に回帰してしまう無限ループである。

ブレイブは「ローグライク」に似た、ローグライクライクといえる。そこを許せるか、許せないかが楽しめるシキイになるのでしょう。とはいえ、入院中はひまなので今日もとりあえず「連続ログインボーナス」に縛られて1プレイしてしまう。こういうところは本当にうまいんだけど、どうしても作業になってやらされている感は否めない。

そして、僕達がストイックな姿勢で楽しませることができたユーザー数とブレイブリーゲートを比べても、きっと絶対数は圧倒的にブレイブリーゲートの方が多いはずで、どれだけ楽しませたか?という本質においても、いきさつや理念がどうあれ、結果、楽しませたものが多いほうが勝ち、という娯楽の世界においても本質をついているといわざるを得ないとても上手な作り方に頭が下がります。

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というネタを書いてから1週間後の11/4にショッキングなニュースが走る。

「サービス終了のお知らせ」

え!

2015年4月から配信していたらしい。まだ半年じゃないか!
スマホゲーは売れる見込みが無いとわかれば撤退も早い。サーバー維持費などの保守料金と毎週のように行われるバージョンアップにかさむ費用をバッサリ切ることがその理由である。ブレゲーは残念ながら「これは失敗」という見切りをつけられてしまっている。

それなりに広告をうったものはユーザーの絶対数が多いからサーバーそのものも高スペックを要求され維持費も高くなりがちである。それだけのユーザーがいても、基本無料のF2Pアプリが毎月黒字に転じないというのは課金コンテンツがうまく回っていないことが理由なのだと思いますが、難しいね。

多くの開発費をかけたであろうきらびやかな演出でユーザーにアピールし、
いたるところに呼び込みのメッセージやアイコンを配置し、
これでもかといわんばかりに稼ぐことに貪欲な異世界のプレデターがこんなに早期に撤退するとは。

やはり金の匂いがプンプンするところは問題があるんじゃなかろうか。
そして美学を感じないところに品の無さを感じ取るんじゃなかろうか。
パズドラライクライク、ローグライクライク、なライクライクソフトは
「課金の呼びこみ以外は中途半端なソフト」というイメージだった。

「あとこれで面白ければ!!」

似たような作りでも、モンストは圧倒的にその金の匂いがしない、というかなんだろう、それ以前にプレイしていて純粋に楽しかったし、課金コンテンツが気にならなかった。自社のソフトにすら自分の金で課金することを半年ためらった超ドケチな僕が、課金コンテンツをみずから探しに行ったほどである。

僕は僕達の作ったソフトが負けているであろうことを前提に話を進めてきたが、どうやらそうでもないらしい。少なくともうちのソフトは細々とやってきたこともあり1年は運営を続けられたし、それを支えてくれたユーザーさんの努力と課金を無駄にしないために、通信料を控えたスタンドアロン版につくりかえ、課金したコンテンツは永久に機能するようにして活動を終えた。

もちろん、これはクライアントの賛同と意向があってのことで、そのための開発費ももらった。ユーザーを大事にするクライアントさんには本当に頭がさがる。ある意味コンシューマーゲームを作ってきたクライアントさんだからこそできるゲームの美学とお客さんに対する敬意の表れといっちゃう。
ローグライクライクとして楽しませてくれたブレゲーには悪いが、いやらしいくらいに稼ぐことに貪欲なソフトのやり方が常勝の方程式でなかったことに、ゲーム業界の自浄作用を感じて少し胸をなでおろした。

ありがとうブレゲー。楽しませてもらいました。やらされ感はあったにせよ最低1日1回はプレイしていたのに無料なのに文句を言ってる僕をお許し下さい。安らかに眠れ。


※そう考えれば広告や目を引くきらびやかさに「やり過ぎ」はないのかもしれない

 → そうでもなかった