まあそうやって、信用を失いつつも、なんとか3年はディレクションの仕事で食いつないだ。そこで契約が終了した
さあお金はないことはない。石橋くんは2年目に去っていった。金城くんもいなくなった。気がつけば一人ぼっちだったが嫁がいた。とりあえず次にどうするか計算してもらうと約半年はなんとか食べていけると社長であるお嫁さんはいう。勝負は半年である。
作りたいものはヴァルケンリスペクトのオリジナルヴァルケンである。新しいヴァルケンの新作をやってみたいし、自分好みに作ってみたい。15年越しの夢を叶える時が来た。過去にヴァルケンリスペクトのクローンをVIIプロジェクトとして作った時の反省点を思い出しながら、それで実現しなかったシステムを中心に、マップエディタなどツールや、ゲームのベースシステムを新規に組み上げた。ワークスで学んだMVC構造(※1)によるゲームの基本システムとシングルトンによるグローバルな変数の管理方法も取り込んでみた。そうやって、VIIからデータをインポートしてきて、まずガンヴァルケンを再現できる程度にまで基本システムを昇華した後、ここ3年でつらつら考えていた、レイノス2を自分好みにアレンジしたガンハウンドをテーマにした。
※1 MVC構造・・・・プログラムの設計上、動作と表示のプログラムを分けて設計すること。そうすることでいいことがいろいろある。例えばポーズメニュー。背景で戦闘画面を一時停止しながらポーズメニューを動かすことができる。分けていなかった場合、ポーズメニューを1フレーム進めてしまうとゲーム画面も一緒に進行してしまうため、ポーズにならない。VIIプロジェクトはポーズメニューで表示されるマップ画面で自機の位置をチカチカさせたかったがために後付けでMVCに対応できるよう大改造を行った末、対応しきれずプロジェクトごと終了せざるをえなくなった。恐ろしい。
ガンハウンドはWindowsで販売されることを想定してDirectXで作った。コンシューマとは違うが、携帯機であるPSPでヴァルケンをやりたい、という野望があったので、Winowsで開発するときから徹底的にPSPを意識した。たとえば画面の解像度は480x272、画像データはWindowsで耐えられるメモリに頼らず、PSPのメモリに乗り切るように、でかいBMPではなくて、細かく刻んだ昔ながらのグラフィックチップの羅列で創った。操作もPSPに無いボタンは使わない。ガンヴァルケンで破綻したポーズメニューはシステムとして最初から組み込んでおく、といった具合だ。なので、いつかチャンスが来た時に、DirectXの部分を最小限にしておいて、三角形ポリゴンを2枚書いて擬似スプライトにするところだけをPSP向けに移植すればいいようにグラフィックライブラリ部分とゲーム部分は徹底的に分けた。
さらに一通りDirectXで動かせるようになった後、コアのグラフィックライブラリ部分をOpenGLで描き直してみてその移植性を検証してみた。うまく動かないところはPSPでも苦労するところなのでこれも徹底的に直した。またPSPのプログラムはどちらかというとOPENGLよりなので、PSPにポーティング(移植)するときはこのOPENGL版が使えることに期待した(※)
※これは5年後にCocos2Dに移植するときに役に立った
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