UnrealEngine4研究所

UnrealEngine4の研究/開発をしてます。ガルルソフトウェア研究所です。

iOS

ビヘイビアツリーの極小サンプル

ビヘイビアツリーを使ったAIについて取り組んでみたので、できるだけシンプルにして覚え書き。

やりたいAIは以下の2点
・敵に自分を目標にして移動してほしい
・移動の際に、迷路を解析して障害物を迂回してほしい
102605

これを再現するために必要なことは以下の3点
・迷路のデータ化
・迷路の自動解析
・敵の移動用の思考パターン(探す、走る、休むを繰り返す)の策定

これらをCとかでプログラミングしていく過程を想像する。
・迷路データ:まあ平面の単純なものなら2次元配列で作れる。
・迷路解析:Aスターアルゴリズムあたりで解析。
・移動ロジック:確定した経路を順番に移動させるシーケンス制御をつくる

これらを例えば以下のような仕組みでプログラミングせずになんとかできないか?
・迷路データ
 ・・・ポリゴンモデルの壁をステージにおいて迷路を直接構成したい
・迷路解析
 ・・・・・ステージを解析して迷路データを自動作成したい
・移動ロジック
 ・・・・・探す、移動する、止まる、をフローに書いて動いてほしい

こんな都合の良いツールはゲーム本編の制作よりも大変そうでわがままなんだけど、UE4は各種ツールでこれをフォローして僕のわがままを聞いてくれる。しかも迷路データは2次元じゃなく立体的な交差にも対応していてすごい。

・迷路データ
 ・・・立方体やポリゴンモデルの壁をステージにおいて迷路を直接構成できる
・迷路解析
 ・・・ナビメッシュでステージを解析して迷路データを自動作成できる
・移動ロジック
 ・・・探す、移動する、止まるを「ビヘイビアツリー」に書いて、そのとおりに動かせる

既存のプロジェクト(TwinStickシューター)で実装してみた。
・敵キャラ
 ・・・キャラのメッシュとAIControllerを割り当てられたPAWN
・AIController
 ・・・プレイヤーとビヘイビアツリーを関連付けているコントローラー
・ナビメッシュ
 ・・・迷路データを自動生成するための立方体
・ビヘイビアツリー
 ・・・AIのタスク(探す、移動する、休む)をフローで設定
・ブラックボード
 ・・・・各タスク間で情報を共有するためのメモ用紙

ナビメッシュはステージ中の迷路に当たる部分をざっくり立方体で包むことで作ることができる。ビヘイビアツリーでは、探す、移動する、休むの3つのタスクが設定されていて、これらと関連付けられた敵キャラがAIControllerを通じて移動してきます。

これを実現したUE4の極小プロジェクトをおいておきます。
TwinStickシューターに敵キャラを追加して、自分の位置をめがけて移動するサンプルです。目的地に到着したら2秒休んで、また自分の位置を補足する、を繰り返します。

ビヘイビアツリーの極小サンプル 

注意するべきは、PAWNで「移動する(MoveTo)」タスクを実行するときはコンポーネントに「FloatingPawnMovement」を追加してやること。敵キャラがCharacterの場合は問題ないが、PAWNの場合はこのコンポーネントを追加しておかないと「MoveTo」できないので注意。
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UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(7) プロビジョニングファイル

さあいよいよプロビジョニングファイルの取得です。ここでは今まで登録、申請してきた情報を一気に結びつけます。画面左のProvisioning ProfilesからALLを選択してください。

prov


次に「manually generate profiles」を選択

prov2

■iOS App Developmentを選択してcontinue

prov3

■割り当てるAppIDを選択します
さっきワイルドカードで指定したアプリを選択します

prov4
■さっき申請した承認書を選択

prov5
※画面では2つになっていますが、後で登録した方が下になります

■機器をヒモづける
さっきUDIDを登録した機器を選択します

prov6
■Provisioning profileに名前を付けます
好きな名前を付けて構いません

prov7

■そしてついにダウンロード
長かったですね・・・。ダウンロードして保存します。

prov8

おつかれさまでした。これでようやくプロビジョニングファイルと鍵がそろいましたので、やっとアンリアルエンジンの作業に戻ることができます。


UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(6) デバイス登録

デバイス登録です。ここまでの流れを軽くおさらいをします。

・アプリを実機で動かすための承認書、認証キーを取得したい
・アプリ企画を申請してAPPID(管理番号)を取得しました
・取得したAPPIDを使って承認書を得るための鍵と申請書を作りました
・申請書を提出して承認書を得ました

ここでは、承認を得られたのでデバッグに使用するデバイス(iPhone)をDeveloperCenterに登録をします。これで限定的に実機上でアプリを動かすことができます。もちろんAPP Storeに公開すればこの限定が外れて制限なく世の中のiPhoneにインストールできるようになります。このステップを終えればようやくプロビジョニングファイルにリーチしますよ。

※初回、もしくは2台目の登録に必要な手順ですので既にUDIDを登録している場合は次に進んでも構いません。

■UDIDを入手する
自分のiPhoneの個体識別番号(UDID)をApple Developer Centerに登録します。
そうすることで、限定的に所有のiPhoneでアプリを動作させることができるようになります。
具体的にはiTunesで個体識別番号(UDID)抜き出し、そのUDIDをDevelopperCenterに登録するだけです。

■iPhoneの個体識別番号(UDID)を確認する
・iTunesを開いてiPhoneのマークをクリック
(図はmac版ですがWindows版も同様の操作で取得できます)

BlogPaint

     ⬇

・「概要」のページを表示する
「シリアル番号」をクリックすると「UDID」→「ECID」→「機種ID」と変化するので「UDID」を表示させます。UDIDの番号の上で右クリックするとコピーできます

701

     ⬇

 UDIDを記録したらiTunesを閉じてしまっても構いません

     ⬇

■UDIDを登録する
ここからは再びブラウザでの作業になります。DeveloperCenterにアクセスします。
https://developer.apple.com/

・Certificate,IDs & Profilesを開きます
510

     ⬇

■Devices > All を選択

750


■右上の「+」ボタンを押して新しいデバイスの登録を開始します

702

     ⬇

■適当な名前(下図ではiPhone)とさきほど記録したUDIDを入力します
(下図ではPlease enter a valid UDIDというエラーが表示されていますが正しいUDIDを入れてください)

640
     ⬇

  Continue

     ⬇

730
     ⬇

   Register

     ⬇

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     ⬇

 Doneを押して登録完了

これでデバイスの登録まで完了しました。アプリのID、デバイスの登録、承認書の3点が整いましたので、いよいよプロビジョニングファイルの取得に進むことができます。

UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(1) 問題
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(2) 概要
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(3) バンドルID
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(4) 鍵と申請書
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(5) 申請と承認書
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(6) デバイス登録とプロビジョニング
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(7) UE4とiPhoneへの転送設定

UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(5) 申請と承認書

先ほど作った申請書(CSRファイル)をDevelopperCenterへアップロードします。申請書を提出することで承認書ダウンロードすることができるようになります。


■Developper Centerへ移動
ここではブラウザで作業をしますのでDevelopperCenterへアクセスしてください。
Developer  > Account > Certificate, IDs & Profilesを選択


・Certificate > Allを選択

520


・Certificate >All > Certificate Signing Requestを選択。

530
※すでに承認を受けている場合は右上の「+」を押して追加します。


・「iOS App Development」にチェックを入れて「Continue」します

540



・次の画面でもContinueする。


・次の画面でさっき自分で作った申請書(CSRファイル)をアップロードする
560

     ⬇

・承認完成!
570


■CERファイルのダウンロードができるようになりました!
承認されたファイルはCertificate > Allからいつでもアクセス可能で必要なときにダウンロードができるようになっています。これをダウンロードして保存してください

     ⬇

 CERファイルを入手!


UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(1) 問題

UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(2) 概要
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(3) バンドルID
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(4) 鍵と申請書
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(5) 申請と承認書
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(6) デバイス登録とプロビジョニング
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(7) UE4とiPhoneへの転送設定

UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(4) 鍵と申請書

2・CSRファイルとKEYの作成

Win上で自分で申請書と認証キーを作る

さて次は承認書(*.CER)をダウンロードしてくるための申請書(*.CSR)を作成します。このCSRファイルやKEYを自動生成するためのWindows用ツールがUE4に用意されているのでそれを使います。この時に「申請書」と「鍵(*.KEY)」を同時に生成して、後ほどダウンロードしてくる承認書(*.CER)と「鍵」をペアで使用します。


「PackageManager.exe」というツールはWindows用のツールとなっておりmacを使った通常のiOSアプリの申請とはここが異なるので注意してください。

 

flow30

・パッケージマネージャーの操作

パッケージマネージャーはインストールした場所にもよりますがUE4のインストール先にあります。

C:\Program Files (x86)\Epic Games\4.13\Engine\Binaries\DotNET\IOS\IPhonePackager.exe

 ip

起動するとまず、iPhoneに転送したいプロジェクトの在り処を聴いてくるので、*.uprojectを指定する。そうすると、以下のような画面が出てくる。

30

一番上の「Create Certificate request and key pair」を選択すると新しいウインドウが開く。



■「認証キー」が完成

この画面でメールアドレスと名前を入力して「Generate a Key pair」を押して、適当な場所に「DeveloperKeyPair.key」を保存する。これが認証キー。


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■「申請書」の作成
次に、「Generate Certificate Request.」ボタンを押すと「Certificate Signing Request.csrというファイルが作られる。これが「申請書」


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さあ、いよいよ次はこの申請書をもって、実際に申請してみよう!


UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(1) 問題
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(2) 概要
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(3) バンドルID
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(4) 鍵と申請書
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(5) 申請と承認書
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(6) デバイス登録とプロビジョニング
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(7) UE4とiPhoneへの転送設定

UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(3) バンドルIDの設定

今回はapple Developer Programからメンバーセンターへ移動してアプリIDを取得します。プロビジョニングファイルを手に入れるためには、アプリのID、デバイス登録、承認書類の3つを揃える必要があります。そのための大事なアイテムの1つです。


1・アプリIDの作成
Developer Centerで今から作るアプリを申請してアプリのIDを作成します。

WEBブラウザからDeveloperCenterへアクセスする。
https://developer.apple.com/

■Certificate,IDs & Profilesを選択
cert


■画面が切り替わるのでDeveloper  > Account > Identifiers > AppIDsを選択
03

     ⬇

・App IDs > Continueを選択
※すでにApp IDを持っている場合はAPP IDの選択画面になるので、新しく作るか、既存のものを選びます
04

     ⬇
appid

次にApp ID Descriptionを設定する。これは管理用の名前なのでなんでもいい。
複数のアプリIDがある場合に区別するためのタイトルみたいなもの。
ここでは「OthelloGame」としています。

重要なのは次の「Bundle IDを設定する」というところ。ワイルドカードで指定する。もちろん後からBundleIDは確認できるが、後々UE4のプロジェクト設定で同じものを入力することになるので、ちゃんとメモっておくこと。
 
05



     ⬇

・Registerを押して登録完了
     ⬇
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UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(2) 概要

■概要

アプリIDとプロビジョニングファイルと承認書を用意する

自作アプリをiOSに転送するためにはアンリアルエディタの
プロジェクト設定から「iOS > Mobile Provisioning」の欄で
iOS向けの設定を行うことができます。
ここの設定に必要になるファイルは以下の3つです。

*.cer(承認書)
*.key(開発キー)
*.mobileProbitioning(プロビジョニングファイル)


これが正しく設定できればiPhoneへの転送はなんら問題ないの
だけれども。しかし、このファイルってどうやって準備するの
でしょうか?これらを全部揃えるのに、いくつもの手続きを
通らなくてはいけないので、概要を説明します。

0・AppleIDを作成、MemberShipに加入する
 $99かかります、入っておいてください

1・アプリIDの作成

・Apple Developper Centerで今から作るアプリを
 申請してアプリのIDを取得します
・アプリIDはいくつでも作成できます。重要なのは「BundleID」です
・あと会社名も間違えないようにメモっておこう

 

2・CSRファイルとKEYの作成
・UEのツールで申請書(CSR)と認証キー(KEY)を作ります
・ここで作るCSRはCERとは異なります。
・CERを得るための承認書がCSRです
・「認証キー」は、後でダウンロードしてくる「認証ファイル」と
 セットで使われます

3・CSRファイルのアップロード
・ブラウザからAppleDevelopperCenterへアクセスします
・アプリを選んで「認証ファイル作成」の申請をする
・ここで提出するのがさっき作った申請書(CSR)

4・CERファイルのダウンロード
・すぐに「アプリの承認ファイル(CER)」ができあがるので
 ダウンロードできます。

5・機器登録
・アプリIDを作成してもらい承認ファイルを得たとしても不特定多数の
 デバイスにインストールすることはできません
・許可してほしいデバイス(iPhone)を登録します

6・プロビジョニングファイルの取得
・「登録した機器」、「アプリID」、「アプリの承認ファイル」の
 3点がそろってるはず
・これらを関連付けた「プロビジョニングファイル」を作成して
 もらうことができます

7・UE4を通じてiPhoneに転送
・最後は、登録したアプリの「バンドルID」「デベロッパー名」
 「モバイルプロビジョニング」「認証キー」「承認ファイル」を
 それぞれ矛盾が出ないようにUEに登録します
・うまくいけばiPhone用の実行ファイル(ipa)が生成されて、
 転送できるようになります

まずは「0・AppleIDを作成、MemberShipに加入する」から始めましょう。これは説明不要だと思いますので次に進む前にMembershipに登録しておいてください。$99かかります。
MemberShipに参加入会するとMobileProbitioningファイルや、
CERファイルがApple Developer Centerからダウンロードできるように
なります。

https://appleid.apple.com/

UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(1)

UnrealEngineではWindowsで作ったアプリを簡単にiPhoneへ出力することができる、らしいが、やってみると、UnrealEngineによらないプロビジョニングファイルとか証明書とかの準備でひたすらつまずいたのでメモっていきます。

手順をざっくりフローにするとこんな感じになる。上から順に矢印をたどっていくことで最終的にiPhoneでの起動にたどり着くのだけれども、見ての通りとっても複雑だ。

flow
 

とりあえず問題が色々ある
ひととおり試行錯誤してみてつまずいたのがこの辺りだった。
 

1・UE4で読み込ませるプロビジョニングファイル(Pファイル)がない

2・PファイルをUEに読み込ませてもNo Validとなって有効にならない

3・Certificationファイルを読み込ませても(*.cer)がNo Valid

4・そもそも*.cer以下、Cファイル)ファイルがない

5・Cファイルと一緒に求められるKeyファイルがない

6・Cファイルが有効なキーとペアにならない

7・MACiPhoneに転送しようと思うとコンパイルでフリーズする

8・承認ファイルがなくてiOS向けのパッケージングができない

9・UE4-Game-info.plistがない

10・UDIDってどうやって取得するのか?


これらの問題は申請書と一緒に生成されるべきキーファイルが一致してないとか、Appleでの登録情報とアプリでの設定の不一致だったり、そもそもUEで用意されてるはずのファイルが無かったりで、ひとえにこれが問題である、と断定できないので、1つずつ確実に処理していきます。最終的にはCER、KEY、MOBILEPROVITIONINGの3点が揃えばうまく動きます。

以降の解説ではWindowsのみで進行します。iTunesが必要になります。私のやり方ではApple MemberShipに加入する必要があります($99)、アンリアルエンジンのバージョンは4.13201610月20日時点での情報です。


UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(1) 問題
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(2) 概要
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(3) バンドルID
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(4) 鍵と申請書
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(5) 申請と承認書
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(6) デバイス登録とプロビジョニング
UnrealEngine4のアプリをiOSで動かす(7) UE4とiPhoneへの転送設定

ソーサリアン for iOS

病院は暇だ。ゼロノスのマスター提出が10月20日。会長とPが病院に走ってきて解雇を通告しに来たのが10月21日。2週間ほどの入院の予定が2ヶ月位にのびて気持ちも萎えまくっている今日このごろ。

とにかく忙しかった5年の間に積みに積みまくったゲームを消化していくいいチャンスだと思った。いま世の中はPS4だけど、仕事が忙しくなった20年前からの積みゲーを消化していこう。いややっぱりやめた。無理だ。この20年の間になんとかクリアしたゲームは

・ナムコxカプコン
・メトロイドピンボール
・ゼルダの伝説

だけだった。話題になってたマリオカート7とかもやってないな、あ、買ってもないわ。そんな中いつかやろうと思っていた「ソーサリアン for iOS by Aeria」
これなら入院生活でもできる。

正直2500円で登場したAeria版ソーサリアンは出た当初からその価格と操作性の悪さに2chの掲示板は荒れていた。そこに含まれる課金コンテンツもなにか死者を冒涜するような「有料の復活」が神経を逆なでしたのか、課金コンテンツとしての評価は良くなかった。むしろ嫌われていた。

しかし、当時のそんな状況を横目にしつつも今あらためてバグもとっくにフィックスされたであろうソーサリアンをプレイしてみると、これはWindows版で販売された「ソーサリアンオリジナル」の移植版としては申し分のないできだ。ただ当時のアプリとしての2500円は高すぎたが。しかし僕はもともと無料で買ったんだったか、300円で買ったんだか忘れたけれどもセールで買って、そして「消えた王様の杖」であっさり全滅したあと無償で復活させてくれるあたりも含めて、そんなにケチなアプリではない。

操作性の悪さはスマホである限り目をつぶらざるをえないが、そこは買う側がわかってあげようよ。
iOSでソーサリアンが遊べることを評価すべきであって「消えた王様の杖」をクリアさせるところまではギリギリ耐えられる順当な操作性である。

僕としてはスマホで遊びやすいソーサリアンが欲しかったのだけれども、むしろソーサリアンそのものよりも、ソーサリアンのエッセンスを楽しみたかったに違いない。今、王様の杖をクリアして「暗き沼の魔法使い」でガマガエルを天に返したあとわかった。この労力の1/15くらいで楽しみたかった。

でもそれは移植では難しい話で、下手なアレンジや、敵の弱体化とか、MAPや基本システムを変更すればますます古参プレイヤーから叩かれるし評価がさがる。これは経験上知ってる。昔からのプレイヤーはなぜか上から目線で「こうでなくっちゃ」と言わんばかりに細かいことに口うるさい。
言ってみれば、レストランでウェイターに偉そうにする人に近い。

「こんなソーサリアン、タダでも(ちょっとしか)遊べねえよ、
 俺の(ソーサリアンではなく若いころの自分と愛機PC88の)思い出を返せ」

難しい。この気持に応えるのは実に難しい、リバイバルとかリメイクとか、リビルドていうのはこういう自分勝手な思い込みを美化する風潮を無視できる豪胆さが必要かもしれない。過去、レトロゲームをリメイクする際、版元さんはこういった。

 「古参プレイヤーには何を作っても叩かれる」
 「新しい人向けに過去に縛られない新しいコンテンツとして提供する」

言い得て妙である。ソーサリアンをこのiOSで出してくれたAeria版に文句を言いまくるから新作も出なければ追加シナリオも出ない。特にコアな人はこういう。

 「下手なリメイク出されるくらいなら出ないほうがマシだ」

この意見は僕にとっては迷惑だ。下手なリメイクでも面白ければ僕は遊びたいし、新作も出てほしい。ダメだったら黒歴史に刻んで、それを肴に盛り上がるのも悪く無い。もう一度言うがAeriaのソーサリアンは「よく出来てる」あ、はじめて言ったか。ただ、ソーサリアン好きとしては残念な気持ちは共感できるが、それはAeriaのせいじゃない。

僕の心の思い出が実物以上に美しすぎただけなんです。

ブレイブリーゲート(ブレゲーって略すんですって)

2015-11-15-12-13-33

今をときめくサイバーエージェント様のローグライク。

本当にお金をかけてパズドラの売れてる要素を限りなくトレースして作られたローグライクに見えます。
かくいう私もソフト屋の代表取締役時代に、パズドラシステム+パズルとか、パズドラシステム+ドラクエ戦闘したものを作らせてきた張本人なので、パズドラシステム+ローグライクで基本コンセプトのあさましさにあれこれ言う資格などない。

僕自身はパズドラをそんなにプレイしていなかったので、あまりその仕組を理解していなかったんだけど、しかし、やってみておどろいた。うちの作ってた商品とブレゲーはシステムがクリソツじゃないか!パクリか!?あ、違う、僕達がパズドラをパクったから、他のパズドラリスペクト製品と似てるだけなんだ。

僕らもがんばってリスペクトしたし、クライアントさんとの二人三脚で頑張ってきたけど結局クライアントさんを大儲けさせてあげることはできなかった。単純に言うと開発費だけもらってうまく稼がせてあげられなかった。しかしこのブレイブリーゲートをそういうソフト屋の観点ではなくプレイヤーとして見て僕らのソフトが圧倒的に欠けている点に気づいた。

かけているお金の量が違うこともさることながら、カードやガチャなどの当たり前の要素に加えて儲かる(らしい)すべての(誰かが考えた)要素をぎゅうぎゅうに詰め込みました、っていう言ってみればよくあるアレである。
ゲームのUIやエフェクトなど、必要以上にきらびやかな演出は、いたるところでお金の香りの香水がプンプン匂う。もうこれはアレだな、夜の街とかパチスロのきらびやかさに近い。そう考えれば広告や目を引くきらびやかさに「やり過ぎ」はないのかもしれない(※)

ようするに「いやらしいくらい稼ぐことに貪欲」なソフトなのである。

僕らが負けていたのはここだった。
根がゲーマーな奴ら(僕ら)が稼ぐことに貪欲になりきれず、ゲームとしての美学や歴史に準じてわきまえたゲーム性とストイックな姿勢でそこそこのカンパを求めていたところに「さあ、今からがっぽり稼ぐぜ!」っていう別次元から現れたプレデターとは稼ぐことに対する姿勢が違う。

同じパズドラリスペクトでも、徹底的に研究してやり尽くして、パズドラライクなんてものじゃなく「それ以上」を本気で狙っている姿勢に完全に負けていた。

どうせマネッコするんならここまでやらないとダメだった。しかし悔しい。ゲームの美学を無視して稼ぐことに貪欲なソフトに負けることが悔しい!

本気で貢がせるつもりのホストと恋愛に純真でストイックな男子のどっちがかっこいいか、というと、僕は後者だけれども、どっちが女の子に貢がせることができるかというと前者である。そして貢がせた分の見返りは、そのお金をかけたであろう豪華な演出で一生懸命にプレイヤーに還元している。同じ100円でも、レアキャラを引いた時の気持ちよさは、僕らの作ったゲームと比べてもブレイブリーゲートの方が5倍は豪華だ。

ゲームの話に戻そう。
しかし残念ながらこの「ブレイブリーゲート」はローグライクなのに全然ローグライクらしくない。システムはローグライクなのに。ローグっぽくないのである。

クローズドβテストでも「こんなのローグじゃない」といった意見が出ていたらしいが、そもそもローグらしさて何?ということになると話が難しい。しかし、どうも本人たちもそう思っていたらしく改善できる点を昇華して本作品に必要のない要素を男らしくオミットした結果なのでしょう。

http://gamebiz.jp/?p=146305

悪くないけど、ローグ特有の戦略性がいまいち感じられなくて。
近づいてバシュ、近づいてバシュっと切り進む感じはなんかゼルダの伝説っぽくもあり、もはやアクションに近い。後半になればもっとローグライクしてくれるのかもしれないが、そこまで保つ自信がない。

そう思ってた矢先に「スーパー激レア」キャラが当たる。
うまいねえ。こういうところが本当にうまい。こういう香水の匂いがプンプンするゲームは苦手なところで、iPhoneで遊べる香水の匂いのしない、とても優秀なローグライクを紹介します。

2015-11-15-12-12-38
・Rougue Ninja・・・http://www.appbank.net/2012/04/06/iphone-application/393492.php
・Alchemy Dungeon・・・http://app.famitsu.com/20150713_543471/
・お宝ダンジョン・・・http://iphoneac-blog.com/archives/3143869.html

むむうう、地味だ。地味だがこっちのほうが好きだ。素直に面白い。これでローグにはまって、もっと派手でカジュアルなローグを求めてブレゲーに行き着いた結果、なぜか原点に回帰してしまう無限ループである。

ブレイブは「ローグライク」に似た、ローグライクライクといえる。そこを許せるか、許せないかが楽しめるシキイになるのでしょう。とはいえ、入院中はひまなので今日もとりあえず「連続ログインボーナス」に縛られて1プレイしてしまう。こういうところは本当にうまいんだけど、どうしても作業になってやらされている感は否めない。

そして、僕達がストイックな姿勢で楽しませることができたユーザー数とブレイブリーゲートを比べても、きっと絶対数は圧倒的にブレイブリーゲートの方が多いはずで、どれだけ楽しませたか?という本質においても、いきさつや理念がどうあれ、結果、楽しませたものが多いほうが勝ち、という娯楽の世界においても本質をついているといわざるを得ないとても上手な作り方に頭が下がります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2015-11-15-12-12-34
2015-11-15-12-12-34

というネタを書いてから1週間後の11/4にショッキングなニュースが走る。

「サービス終了のお知らせ」

え!

2015年4月から配信していたらしい。まだ半年じゃないか!
スマホゲーは売れる見込みが無いとわかれば撤退も早い。サーバー維持費などの保守料金と毎週のように行われるバージョンアップにかさむ費用をバッサリ切ることがその理由である。ブレゲーは残念ながら「これは失敗」という見切りをつけられてしまっている。

それなりに広告をうったものはユーザーの絶対数が多いからサーバーそのものも高スペックを要求され維持費も高くなりがちである。それだけのユーザーがいても、基本無料のF2Pアプリが毎月黒字に転じないというのは課金コンテンツがうまく回っていないことが理由なのだと思いますが、難しいね。

多くの開発費をかけたであろうきらびやかな演出でユーザーにアピールし、
いたるところに呼び込みのメッセージやアイコンを配置し、
これでもかといわんばかりに稼ぐことに貪欲な異世界のプレデターがこんなに早期に撤退するとは。

やはり金の匂いがプンプンするところは問題があるんじゃなかろうか。
そして美学を感じないところに品の無さを感じ取るんじゃなかろうか。
パズドラライクライク、ローグライクライク、なライクライクソフトは
「課金の呼びこみ以外は中途半端なソフト」というイメージだった。

「あとこれで面白ければ!!」

似たような作りでも、モンストは圧倒的にその金の匂いがしない、というかなんだろう、それ以前にプレイしていて純粋に楽しかったし、課金コンテンツが気にならなかった。自社のソフトにすら自分の金で課金することを半年ためらった超ドケチな僕が、課金コンテンツをみずから探しに行ったほどである。

僕は僕達の作ったソフトが負けているであろうことを前提に話を進めてきたが、どうやらそうでもないらしい。少なくともうちのソフトは細々とやってきたこともあり1年は運営を続けられたし、それを支えてくれたユーザーさんの努力と課金を無駄にしないために、通信料を控えたスタンドアロン版につくりかえ、課金したコンテンツは永久に機能するようにして活動を終えた。

もちろん、これはクライアントの賛同と意向があってのことで、そのための開発費ももらった。ユーザーを大事にするクライアントさんには本当に頭がさがる。ある意味コンシューマーゲームを作ってきたクライアントさんだからこそできるゲームの美学とお客さんに対する敬意の表れといっちゃう。
ローグライクライクとして楽しませてくれたブレゲーには悪いが、いやらしいくらいに稼ぐことに貪欲なソフトのやり方が常勝の方程式でなかったことに、ゲーム業界の自浄作用を感じて少し胸をなでおろした。

ありがとうブレゲー。楽しませてもらいました。やらされ感はあったにせよ最低1日1回はプレイしていたのに無料なのに文句を言ってる僕をお許し下さい。安らかに眠れ。


※そう考えれば広告や目を引くきらびやかさに「やり過ぎ」はないのかもしれない

 → そうでもなかった
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