色々あったが3年たった。大体手元には300万ほど残っている。
少ないながらもいよいよコンシューマーでのゲーム開発を始めようかという時だったが一緒に始めた仲間はだいたい2年おきに転職する人だったこともあり、きっちり2年目にいなくなった。
でもおかげで溜まった貯金が約350万。
あれ?1000万を目指してなかったっけ?
そうなんです。もともとはその予定だったんだけど、途中でプランナーが合流することになりました。
もともと、このプランナーとは初年度から一緒に活動を始める予定だったのだけれども、直前に急に連絡が取れなくなって合流を断念した。
1年後に連絡がつくようになって、きいた言い訳は「警察に捕まっていた」という。その後は、彼の父親がガンになり闘病生活を補助する必要から金策に走って、ついに僕を頼ってきた、と、そういう流れだった。
それだけでもう、今考えるとうさんくささがプンプンする男なのだが彼と僕の関係は、僕が前職のシステムクラスタの新入社員で彼がバイトとして入社してきた時から始まって、もう10年くらい一緒に仕事をしている仲だった。
最初は6ボタンの対戦格闘ゲームのチェッカーのバイトとして応募してきたのがきっかけで、当時社内で一番うまいとされていた僕を倒すことが採用される条件だったんだけど、僕はあっさり倒されて彼は採用された。その後は、一緒に仕事をするうちに非常に責任感のある男ということがわかってきて、僕のミスや忙しい時のフォローなどは彼に任せて僕はプログラムの仕事を進められるようになっていたし、安心して背中を任せられる彼となら僕の作業効率はは2.5倍増しになる気がしていた。
そんな彼だったので、前置きはさておいても、一緒に仕事できることの嬉しさに「やりなおそうぜ!」って大物ぶって迎え入れたうえに、彼のお父さんの治療費を60万円分貸した(実際に貸したのは会社だが)
その後、合流することで月間18万円の激安プランナーとして活動してもらうことになったが、残念ながら僕はすでに出向の身だったので、彼の仕事先を探すことが難しい。
出向させることができれば最も実入りが大きいのだが、何しろ経歴がバイトしかなく、とりあえずのとりえが「鉄拳」しかない彼をプランナーとして雇い入れてくれる場所はなく、それでも将来一緒にゲームを作ろうとおもうと、自社タイトルで彼をプランナーとして抜擢し1年で大成させる必要があった。
また、僕が未体験だった宣伝やショップへの営業といった活動も彼に任せることにして、自社でキャリアを積んだ実績を、将来の彼の経歴の足がかりにしようと考えた。彼の給与は神奈川のワークスから僕が稼いで、彼が自社タイトル「ガンラウンド」を創る。間接的に僕の抱いた夢のコンシューマソフトの第一歩をスタートさせた。
・・・・半年がたった
最初はものすごくいい滑り出しだったのだけれども、最近どうも、進捗が悪い。
言ったことができてない。おまけに避けるように僕の帰りを待たずに置き手紙だけで進捗を報告する。時間が合わず全くコミュニケーションが取れない。この時点で気づくべきだったが、やっぱり「一緒の場所で仕事をしない」というのは致命的だ。
いつSkypeで連絡してもその場で答えが帰ってくることはなく、20~30分後に「タバコを吸ってました」と帰ってくる。どうもおかしい。居眠りしてるんじゃないか?鉄拳しに外出してるんじゃないのか?など疑念が膨らむ。
業を煮やしたのは僕が取引先でさんざん叱られた日、おりしも給与が振り込まれる月末に彼の1ヶ月分の作業の成果を確認した時だった。
先月作った演出のXとYの値をひっくり返しただけのちゃちなものが提出されていて、2時間もあればできそうな内容を1ヶ月もかけたことに、どうしようもなく腹が立ってきた。
この出来損ないを半日かけてゲームに組み込むのも馬鹿らしいし、こんなちゃちなものに18万円もかけてしまった自分の愚かさに泣けてくる。しかし、一緒にいてこれではダメだと教えてあげる時間を取れるわけでもなく、彼の自主性だけでプランナーにしよう、という僕の皮算用にも問題があった。
次の日から作業はやめて、ものを売るための「営業」にでてもらうことにした。
やり方は全くわからないので、とりあえず近所のショップに片っ端から飛び込んでみて将来の自社の商品のアピールをしてきつつ仲の良い店員さんをつくる仕事だ。実際に販売になった時に1本でも多く関心を持ってもらうために、流通さんだけでなく、メーカーの営業がショップと仲良くなっていく大切さは、「イッポンマツ」ソフトウェアの社長(当時営業)が教えてくれた。
僕にも彼にもわからないことなら、彼のアイデアでなにか開拓することができるかもしれない。近所のショップに飛び込んでみて情報収集をすることをすりあわせて、具体的な方法は彼に任せた。彼のアイデアに僕はとても期待をしていたし、僕は手持ちの案件のマスターアップで大阪に出張しておりまったく管理できる時間を取れなかったこともあって、すべてを彼にまかせた。
結果に期待して1週間がたった。
そうすると、彼は
「河にそってショップを探してだいぶ歩きましたが、ショップらしきものが見つかりませんでした」という。
「?????」え?
「河にそって?」ってどういうことかわからない。
ショップってのは船か何かで送られて来たり、送ったりするメソポタミア文明的な何かなの?
「だいぶ歩いたんですけどねー」
苦労したらしい。
いちおう説明しておくと、2007年である。主力はXPだが、WindowsはVistaや2000が活躍していてスマホの黎明期ではあるがガラケーの中~末期で、もちろんネットだってある。ググってみればショップの情報などは、いくらでもでてくるし、近場に無ければ秋葉原が電車で30分のところにあるのだ。
もう愕然とした。こんなことに1ヶ月の1/4も使ってしまった。金額にして45000円。
なんだったんだ、この4万5千円は。。。エイジオブエンパイアなら川の周りの視界が広がって価値のある斥候になれただろう。でも、俺そんなのいらないし、誰も攻めてこないのに、なんで河をさかのぼって開拓する必要があるんだよ。調べろよ!調べて狙って、ショップに行ってこいよ!んで、どんな話が聞けたのか教えろよ!!
これなら嫁にうまい寿司でも腹いっぱい食べさせてあげたほうがよっぽどマシだった・・・・・!
超ガッカリした。
でも、それでも僕は彼を諦めきれずに、その無駄と、金と、自分がいかに苦労して彼の給与を稼いでいるのかと、ゲームを作るための必然性などをひたすら説いた。叩きこむと言ってもいい。おこがましいがこれぐらいダイレクトに言わないとダメだと思った。
彼の逃げようとする話の先に全部途中で引き返さざるをえないトラップを仕込んで話を聞いて、
彼の話の先に未来がないことを自ら悟らせ
引き返さし、
最終的に僕の話を受け入れることしか選択肢が残らないことを理解させ、
それ以外の道を全部塞いだ上で、
自ら僕の用意した道理を踏ませる。
僕は決して強要はしないが
情況証拠を小出しにすることで怯えさせ、
正論を固めて彼を誘導した。
そしてやっと本当に無駄な時間を過ごしてしまったことを後悔させる、彼自身も、自分の本当にやりたかったことから遠ざかっていることに激しく後悔していた。
そんなやりとりが1年半の間に4度、5度と繰り返されるうちに、彼の髪の毛は、なぜだか白髪交じりになってきた。彼は、本当に素直な人物なのである。しかし、驚くべき喉元の短さで、苦しかったことや後悔したことを
2日あれば忘れることが可能な人物でもあった。
それでも僕は彼を家族のように愛していたし、なんとか一緒に活動するに相応しいパートナーに育って欲しかった。真剣にゲームの事を考えて欲しかったから毎日のように真剣な討議をした。討議というのは僕にとって都合の良すぎる言葉かもしれない。毎日説教した。そして「自分に相応しいパートナーになれ」というのも極めて傲慢だったが何一つおこがましいとは思っていなかった僕は何か勘違いしていたのかもしれない。
そして彼がノラリクラリを始めると僕はやはり、すべての彼の言論の出口を塞いで彼の心の逃げるのを許さなかったし、小さなウソも見逃さずに徹底的に追求した。
そこで心を丸裸にさせて、彼の逃げようとした心や、隠そうとした真実を暴き出し、さらけださせて、糾弾した。
僕は真剣だったし、彼のいい加減さを直したかった。。加えて僕の言うのは正論だったから反論が難しい。今でも正論のどこが悪いかはわからないが、ただ相手を正論でガチガチに固めてしまうことで、相手は逃げ場をなくして最後は心が壊れてしまうことを今は知っている。
彼の場合は最後に「ウソつき」になった。
今日出来てなかった仕事は「明日までにやります!」といって、「今日はもういいから寝てから明日やりなよ」といっても、「いや1日でも早くやらないと申し訳なくて」といいながら家に帰っても、1%も次の日にやってこない。
理由を聞いたら考えているうちに寝てしまったのだという。1度や2度ではない。20回も30回もそれをやるうちに3ヶ月がすぎる。
遅刻してきて叱った後は、叱られた翌日とか、お客さんとの待ち合わせとか大事な日に限って「遅刻する」
その他は、これは退職後の話だが「借りた60万円は来月までに必ず返します」といって、約束の時間に来ない、
家を尋ねると居留守を使う。
最初は僕を「怒らそうとしているのかな?」とか「ピンチに陥れようとしてウソを付いているのかな?」と疑ったが、そもそもそういうやつではないし、そういう感じもしなかった。でも、なんとなくわかったのは、
理想の金城くんはとにかく良い返事をする。そして理想の回答に近づけるべくうっかり着手できないため、しっかり考える準備を始める、しかし、現実の金城くんは緊張が高まると寝てしまったり、遅刻してしまったり、課題をこなしてこなかったりと言い訳できない状態になる。そうなると、僕の「正論ガチガチ固め」で、こころが丸裸になって傷がつく、それを防衛しようとして、またいい返事をして緊張が高まる・・・・
なんかそんな風にみえた。
最後はひどいウソに呆れて嫁と二人がかりで会社から追い出した。真っ黒だった彼の髪の毛が白に近いグレーになっていたのが今でも記憶に残る。嫁は「毎日カップラーメンばっかり食べてたし。。。」と言ってくれるが、それもあるかもしれないが本質はきっと違う。僕がきっと彼の心を壊してしまったんだと思う。
少林寺をやっているセガの忍とか描いてたグラフィッカーが金城くんを見て
「人を変えることはできないが、自分を変えることはできる」と、少林寺(※)の教えを教えてくれた。
さすがセガ、話が深い。
でも、そのとおりだと思う。
どれだけ人の心を変えようとしても変えることはできなかった。
僕は2015年までに5人の心を壊してきたから今はわかります。
(※)全然関係なくて恐縮だけど、この元セガの友人に大切な言葉を残した少林寺の道場主は、負傷した弟子のために、その他の弟子からお金を集めてドロンした。もう何がなんだか・・・・・TT
少ないながらもいよいよコンシューマーでのゲーム開発を始めようかという時だったが一緒に始めた仲間はだいたい2年おきに転職する人だったこともあり、きっちり2年目にいなくなった。
でもおかげで溜まった貯金が約350万。
あれ?1000万を目指してなかったっけ?
そうなんです。もともとはその予定だったんだけど、途中でプランナーが合流することになりました。
もともと、このプランナーとは初年度から一緒に活動を始める予定だったのだけれども、直前に急に連絡が取れなくなって合流を断念した。
1年後に連絡がつくようになって、きいた言い訳は「警察に捕まっていた」という。その後は、彼の父親がガンになり闘病生活を補助する必要から金策に走って、ついに僕を頼ってきた、と、そういう流れだった。
それだけでもう、今考えるとうさんくささがプンプンする男なのだが彼と僕の関係は、僕が前職のシステムクラスタの新入社員で彼がバイトとして入社してきた時から始まって、もう10年くらい一緒に仕事をしている仲だった。
最初は6ボタンの対戦格闘ゲームのチェッカーのバイトとして応募してきたのがきっかけで、当時社内で一番うまいとされていた僕を倒すことが採用される条件だったんだけど、僕はあっさり倒されて彼は採用された。その後は、一緒に仕事をするうちに非常に責任感のある男ということがわかってきて、僕のミスや忙しい時のフォローなどは彼に任せて僕はプログラムの仕事を進められるようになっていたし、安心して背中を任せられる彼となら僕の作業効率はは2.5倍増しになる気がしていた。
そんな彼だったので、前置きはさておいても、一緒に仕事できることの嬉しさに「やりなおそうぜ!」って大物ぶって迎え入れたうえに、彼のお父さんの治療費を60万円分貸した(実際に貸したのは会社だが)
その後、合流することで月間18万円の激安プランナーとして活動してもらうことになったが、残念ながら僕はすでに出向の身だったので、彼の仕事先を探すことが難しい。
出向させることができれば最も実入りが大きいのだが、何しろ経歴がバイトしかなく、とりあえずのとりえが「鉄拳」しかない彼をプランナーとして雇い入れてくれる場所はなく、それでも将来一緒にゲームを作ろうとおもうと、自社タイトルで彼をプランナーとして抜擢し1年で大成させる必要があった。
また、僕が未体験だった宣伝やショップへの営業といった活動も彼に任せることにして、自社でキャリアを積んだ実績を、将来の彼の経歴の足がかりにしようと考えた。彼の給与は神奈川のワークスから僕が稼いで、彼が自社タイトル「ガンラウンド」を創る。間接的に僕の抱いた夢のコンシューマソフトの第一歩をスタートさせた。
・・・・半年がたった
最初はものすごくいい滑り出しだったのだけれども、最近どうも、進捗が悪い。
言ったことができてない。おまけに避けるように僕の帰りを待たずに置き手紙だけで進捗を報告する。時間が合わず全くコミュニケーションが取れない。この時点で気づくべきだったが、やっぱり「一緒の場所で仕事をしない」というのは致命的だ。
いつSkypeで連絡してもその場で答えが帰ってくることはなく、20~30分後に「タバコを吸ってました」と帰ってくる。どうもおかしい。居眠りしてるんじゃないか?鉄拳しに外出してるんじゃないのか?など疑念が膨らむ。
業を煮やしたのは僕が取引先でさんざん叱られた日、おりしも給与が振り込まれる月末に彼の1ヶ月分の作業の成果を確認した時だった。
先月作った演出のXとYの値をひっくり返しただけのちゃちなものが提出されていて、2時間もあればできそうな内容を1ヶ月もかけたことに、どうしようもなく腹が立ってきた。
この出来損ないを半日かけてゲームに組み込むのも馬鹿らしいし、こんなちゃちなものに18万円もかけてしまった自分の愚かさに泣けてくる。しかし、一緒にいてこれではダメだと教えてあげる時間を取れるわけでもなく、彼の自主性だけでプランナーにしよう、という僕の皮算用にも問題があった。
次の日から作業はやめて、ものを売るための「営業」にでてもらうことにした。
やり方は全くわからないので、とりあえず近所のショップに片っ端から飛び込んでみて将来の自社の商品のアピールをしてきつつ仲の良い店員さんをつくる仕事だ。実際に販売になった時に1本でも多く関心を持ってもらうために、流通さんだけでなく、メーカーの営業がショップと仲良くなっていく大切さは、「イッポンマツ」ソフトウェアの社長(当時営業)が教えてくれた。
僕にも彼にもわからないことなら、彼のアイデアでなにか開拓することができるかもしれない。近所のショップに飛び込んでみて情報収集をすることをすりあわせて、具体的な方法は彼に任せた。彼のアイデアに僕はとても期待をしていたし、僕は手持ちの案件のマスターアップで大阪に出張しておりまったく管理できる時間を取れなかったこともあって、すべてを彼にまかせた。
結果に期待して1週間がたった。
そうすると、彼は
「河にそってショップを探してだいぶ歩きましたが、ショップらしきものが見つかりませんでした」という。
「?????」え?
「河にそって?」ってどういうことかわからない。
ショップってのは船か何かで送られて来たり、送ったりするメソポタミア文明的な何かなの?
「だいぶ歩いたんですけどねー」
苦労したらしい。
いちおう説明しておくと、2007年である。主力はXPだが、WindowsはVistaや2000が活躍していてスマホの黎明期ではあるがガラケーの中~末期で、もちろんネットだってある。ググってみればショップの情報などは、いくらでもでてくるし、近場に無ければ秋葉原が電車で30分のところにあるのだ。
もう愕然とした。こんなことに1ヶ月の1/4も使ってしまった。金額にして45000円。
なんだったんだ、この4万5千円は。。。エイジオブエンパイアなら川の周りの視界が広がって価値のある斥候になれただろう。でも、俺そんなのいらないし、誰も攻めてこないのに、なんで河をさかのぼって開拓する必要があるんだよ。調べろよ!調べて狙って、ショップに行ってこいよ!んで、どんな話が聞けたのか教えろよ!!
これなら嫁にうまい寿司でも腹いっぱい食べさせてあげたほうがよっぽどマシだった・・・・・!
超ガッカリした。
でも、それでも僕は彼を諦めきれずに、その無駄と、金と、自分がいかに苦労して彼の給与を稼いでいるのかと、ゲームを作るための必然性などをひたすら説いた。叩きこむと言ってもいい。おこがましいがこれぐらいダイレクトに言わないとダメだと思った。
彼の逃げようとする話の先に全部途中で引き返さざるをえないトラップを仕込んで話を聞いて、
彼の話の先に未来がないことを自ら悟らせ
引き返さし、
最終的に僕の話を受け入れることしか選択肢が残らないことを理解させ、
それ以外の道を全部塞いだ上で、
自ら僕の用意した道理を踏ませる。
僕は決して強要はしないが
情況証拠を小出しにすることで怯えさせ、
正論を固めて彼を誘導した。
そしてやっと本当に無駄な時間を過ごしてしまったことを後悔させる、彼自身も、自分の本当にやりたかったことから遠ざかっていることに激しく後悔していた。
そんなやりとりが1年半の間に4度、5度と繰り返されるうちに、彼の髪の毛は、なぜだか白髪交じりになってきた。彼は、本当に素直な人物なのである。しかし、驚くべき喉元の短さで、苦しかったことや後悔したことを
2日あれば忘れることが可能な人物でもあった。
それでも僕は彼を家族のように愛していたし、なんとか一緒に活動するに相応しいパートナーに育って欲しかった。真剣にゲームの事を考えて欲しかったから毎日のように真剣な討議をした。討議というのは僕にとって都合の良すぎる言葉かもしれない。毎日説教した。そして「自分に相応しいパートナーになれ」というのも極めて傲慢だったが何一つおこがましいとは思っていなかった僕は何か勘違いしていたのかもしれない。
そして彼がノラリクラリを始めると僕はやはり、すべての彼の言論の出口を塞いで彼の心の逃げるのを許さなかったし、小さなウソも見逃さずに徹底的に追求した。
そこで心を丸裸にさせて、彼の逃げようとした心や、隠そうとした真実を暴き出し、さらけださせて、糾弾した。
僕は真剣だったし、彼のいい加減さを直したかった。。加えて僕の言うのは正論だったから反論が難しい。今でも正論のどこが悪いかはわからないが、ただ相手を正論でガチガチに固めてしまうことで、相手は逃げ場をなくして最後は心が壊れてしまうことを今は知っている。
彼の場合は最後に「ウソつき」になった。
今日出来てなかった仕事は「明日までにやります!」といって、「今日はもういいから寝てから明日やりなよ」といっても、「いや1日でも早くやらないと申し訳なくて」といいながら家に帰っても、1%も次の日にやってこない。
理由を聞いたら考えているうちに寝てしまったのだという。1度や2度ではない。20回も30回もそれをやるうちに3ヶ月がすぎる。
遅刻してきて叱った後は、叱られた翌日とか、お客さんとの待ち合わせとか大事な日に限って「遅刻する」
その他は、これは退職後の話だが「借りた60万円は来月までに必ず返します」といって、約束の時間に来ない、
家を尋ねると居留守を使う。
最初は僕を「怒らそうとしているのかな?」とか「ピンチに陥れようとしてウソを付いているのかな?」と疑ったが、そもそもそういうやつではないし、そういう感じもしなかった。でも、なんとなくわかったのは、
理想の金城くんはとにかく良い返事をする。そして理想の回答に近づけるべくうっかり着手できないため、しっかり考える準備を始める、しかし、現実の金城くんは緊張が高まると寝てしまったり、遅刻してしまったり、課題をこなしてこなかったりと言い訳できない状態になる。そうなると、僕の「正論ガチガチ固め」で、こころが丸裸になって傷がつく、それを防衛しようとして、またいい返事をして緊張が高まる・・・・
なんかそんな風にみえた。
最後はひどいウソに呆れて嫁と二人がかりで会社から追い出した。真っ黒だった彼の髪の毛が白に近いグレーになっていたのが今でも記憶に残る。嫁は「毎日カップラーメンばっかり食べてたし。。。」と言ってくれるが、それもあるかもしれないが本質はきっと違う。僕がきっと彼の心を壊してしまったんだと思う。
少林寺をやっているセガの忍とか描いてたグラフィッカーが金城くんを見て
「人を変えることはできないが、自分を変えることはできる」と、少林寺(※)の教えを教えてくれた。
さすがセガ、話が深い。
でも、そのとおりだと思う。
どれだけ人の心を変えようとしても変えることはできなかった。
僕は2015年までに5人の心を壊してきたから今はわかります。
(※)全然関係なくて恐縮だけど、この元セガの友人に大切な言葉を残した少林寺の道場主は、負傷した弟子のために、その他の弟子からお金を集めてドロンした。もう何がなんだか・・・・・TT